黎から受ける3度目のプロポーズは、今までで1番真剣で、1番ストレートなものだった。黎の気持ちが十分すぎるくらい伝わってきて、苦しくなるくらい胸がときめいた。
不安そうにゆらゆらと瞳を揺らす黎の両手をきゅっと握り、優しく名前を呼ぶ。
「大学生になって、今よりもっと広い世界に出た時、私より好きな子ができちゃうかもしれないよ?」
「そんなの絶対にありえない。俺の世界に女の子はもえしかいないよ」
「黎が社会人になる頃、私は28歳、アラサーだよ?それでもいいの?」
「いいに決まってる」
私の面倒な問いかけに、間髪入れずはっきりと答えてくれる黎。
若い子に目移りされたらどうしよう。
黎が私に飽きちゃったらどうしよう。
黎に捨てられちゃったらどうしよう。
そんなネガティブを発動させる私はもういない。
だって、黎は常に自分の気持ちを真っ直ぐに伝えてくれるから。200%の愛を私に届けてくれるから。
そんな黎の言葉だからこそ、私は信じて待つことができる。黎と一緒に歩んでいく未来のために、私も頑張ることができる。
「早く私のことを獅子堂萌葉にしてね」
微笑みながらそう告げ、黎の頬へとキスを落とした。
唇を離してすぐ黎の顔を覗き込むと、真っ白な肌は耳の付け根まで真っ赤に染まっていた。


