これって遠回しに私が邪魔だって言ってるんだよね?ここから離れて2人だけにしてってことだよね?
「獅子堂くんと付き合ってるわけじゃないんですよね?」
「うん、まあ」
「だったらいいですよね。私、獅子堂くんのこと好きなんです」
「……」
「私と獅子堂くんの2人にしてください」
お願いします、とやや口調は強気ではあるけれど丁寧に頭を下げたさやかちゃん。
彼女の言う通り、私は黎と付き合っているわけじゃない。
黎が女の子と2人きりになることを止める権利なんてのは当たり前にないし、もし仮に付き合っていたとしてもそうだ。
さやかちゃんは本当に黎のことが好きなようだし、それを邪魔するつもりも毛頭ない。
なんせ私は大人だ。私が一旦この場を離れるべきだとは頭では分かってる。分かってはいるんだけど……、どうしてか、上手く身体が動いてくれなくて。
黙ったままの私にさやかちゃんからの視線が痛いほど刺さる。息苦しく感じ始めたこの空気の中、口を開いたのは黎だった。
「あのさ、もえを巻き込むのやめてくんない」
ふと、目の前にいたはずのさやかちゃんの姿が視界から消えた。それは私と横並びになっていた黎が私を隠すように目の前に立ったからで。


