気づきたくもない気持ちに気付いてしまって、どうにか否定したくて、嫌われそうなことばかりを口にしてしまう。
なのに、全く伊藤さんには効かないみたいで、そんな俺に呆れる事なく返してくるから、余計に深みにハマる。
風呂から出て軽くラリーをしているうちに、千葉さんへの気持ちを本人から聞きたくなった。
「ハジメが、なに?」
「千葉さん、彼女いないですよね?」
「……なに言ってるの?猛禽……じゃなかった。
南さんと付き合ってるじゃない」
「――南とですか?」
本当に知らなかったか。
まあ、わかってはいたけど。
「え?」
「あの二人は付き合ってませんよ」
「え、えええええ」
「知らなかったんですか」
「知ってたように見える?」
「……僕もてっきり――あ。別に、どうでもいいですけれど」
「ねぇ、どうしてそんなこと坂口くんが知ってるの」
困惑したその姿を見て、嫉妬を覚える。
もちろん、千葉さんに。
「南に聞いたから、ですけど」
「……あ、そっか」
落胆した伊藤さんが「なんで……」と呟いた。
「千葉さんて、とんだ食わせものですよね」
本当に。
