扉を開けた先で床とまた同化している、この女。 「……何してるんですか」 床で俺の靴を見て「あー、綺麗に磨いてるんだね」とまた訳のわからない事を言っている。 伊藤さんの脇に手をさしこんで、身体を持ち上げた 「重い」 ……腹が立ちすぎて、逆の言葉を吐く。 自分がこんなに子供じみた事をするとは思わなかった。 「いいよもう、タクシー代渡すから帰って」 「あ、いいんですか?」 「え」 「痛い思いまでしてあげたんですから、頑張ってくださいよ」 そうだよ、わざと殴られてあげたのに。