敦史の事は、忘れてた。
というか何で怒ってたんだっけ、と落ち着いたらよくわからなくなってた。
敦史がどこにいるのか探すと、
せっかく夜景が綺麗に見えるテラス席の端っこで、1人しょんぼりしている。
仕方ない…。
私はグラスを持つと、立ち上がって敦史の隣に腰を下ろした。
「さっきはごめんね」
「もう一生仕事以外で口聞いてもらえないかと思った」
「そのくらい怒ってはいた」
「ごめんなさい」
反省しすぎてる敦史を見たら、なんだか気が抜けた。
「けど、悪いのは敦史だよね」
「申し訳ございません」
「ちゃんと話してくれたら良かったのに」
え?という顔で、敦史が私を見る。
「ハジメと南さんの事も」
「あー…」
「アンタの気持ちも」
「坂口に聞いたの?」
敦史の顔から余裕がなくなって、でもそんな間抜けな顔見た事なかったから。
「うん、全部」
つい、からかってしまう。
「え、マジか」
やべえ、って言いながら、顔を手で覆ったその指の隙間から、赤くなった耳だけが見える。
ホントだったんだ
いや、別に坂口くんの話が嘘なんて思ってないけど、そんな話聞いたところで、自分に自信なんて全然ないから、正直半信半疑だった。
