両片思いだったのに略奪されて溺愛されました



「ご納得いただけましたか?」


「致しかねる」



往生際の悪い俺に、坂口がため息をついた。



「まだ、伊藤さんとの関係性も貴方達より浅いです。友人として心配だと言うなら、そっと見守って頂けると助かります」


「……」


「無責任なことはしませんから、安心してください」



そーゆー話じゃないんだが。


「じゃあ、失礼します」








坂口はそう言って、杏のマンションに消えていった。