両片思いだったのに略奪されて溺愛されました


――態度に出過ぎ。

まぁ、無理もないか。

次から次へと検品ばかりがかさばるとヤル気が損なわれてしまう三浦の気持ちは痛いほどわかる。


デザインがしたくてデザイナーになったはずが、三浦がこなすのは検品やらなんやら、雑用ばかりでデザインの決定権などはどこにもないからだ。




ハジメからサンプルを受け取って、透明の袋からそれを出して広げる


「……汚な」


縫製は見て即わかるほど汚ない。

背中側はたたみ皺(しわ)で、商品の形状が上手くでていない。



「ちょっと、サンプルもハンガーにしてって言ったでしょ」


「ベトナムから直送で来たからさー」


「そんなの商社に言ってプレスかけてから持って来いってちゃんと指示出して」


「わかった」


「だいたいコレ、担当者ちゃんと見てから送って来てるの?すんごい汚ないんだけど。納品もちゃんとハンガー納品の指示出してよ?」



「うん――けどさ、それだとコストきついんだよね」


「値切って。あと、セカンドあげてもこのレベルなんだったら、工場変えてよ」


「杏ー、頼むわ」


「頼まれたって嫌なものは嫌。アンタ、このレベルで納品していいと思ってんの?」