坂巻さんは、間違っていない ――けれど、トレンドを追いすぎれば数は売れず、大衆向けを求め安易なデザインであるとファッションにはならない。 私には、そのさじ加減がよくわからない ただ、売れるだけではいけない、そのデザインの境界線が。 「――はい」 「決まったらまた声をかけて」 「かしこまりました」 私達のそんなやり取りを、三浦が肩をすくめて聞き耳をたてている 三浦は空気が読める だから、静かに机に向かって余計な言葉はいっさい吐き出さない