死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 少し歩いて、お花畑に着く。

「きれい...」

 見たこともないくらいに広がる、黄色の絨毯。
 思わず、息を飲んだ。

「綺麗だな」
「うん...」

 とにかく手を繋いだまま、ずっとそこに立って、目の前の向日葵を眺める。

「向日葵の中を歩けるらしいよ」
「行ってみよ!」

 手を繋いで、走り出した。
 タイミング良く、今は貸切状態。星惟に私のスマホを渡していっぱい写真を撮ってもらう。

「美來、綺麗だよ」
「星惟...」

 そう言うと、星惟は背中側からお花を取る。

「美來、向日葵の花言葉、知ってる?」
「向日葵の、花言葉?」

 なんだろう。笑顔、とか?

「基本的な花言葉は"憧れ"なんだ。向日葵は、太陽の光に向かって咲くから、太陽に憧れている花って言われてるでも、本数によっても花言葉は変わる。だから、これ」

 小さな向日葵の造花。
 髪飾りになっていて、お花は9本ついている。

「9本の向日葵の花言葉は、
     "いつまでも、一緒にいてほしい"
 なんだ。だから...」

 はにかむ星惟の瞳はどこか力強くて、心打たれる。

「星惟...ありがとう...」

 泪が出てきて、そして私はまた星惟に抱きついた。
 私も、ずっと、いつまでも、一緒にいたい。願わくば、おばあちゃんとおじいちゃんになってもずっと。

 叶わない夢を、また言わせて。

「星惟、いつまでも大好きだよ...」

 そう言ったら、星惟は微笑んでくれた。

 そして、彼の唇が近づいてくる。


「んッ...///」


 あの時と一緒、いや、それ以上の甘い温かみに私の心は満たされていた。