それから、光野くんは1週間に1回くらいの頻度で、私の病室を訪ねてくれた。
「学校で面白いことあった?」
「いつも言ってるけど、僕はクラスの様子なんか見てないよ」
私が毎回のように、彼にそう聞くと、いつだってそうやって返される。
光野くんは友達とかいないのかな。私のところにいっぱい来てくれて嬉しいけど、友達のことも大切にしてほしいなぁ。
「ねぇ、勉強教えてよ」
「勉強?」
院内学級で勉強はしているけれど、高校の進むスピードは、多分違うから、どんな感じで授業があるのか知ってみたかった。
「光野くん、賢そうじゃん」
「よく言われる」
自分が余命宣告されていないみたいだった。
あの時はもうこんな会話できないと思ってたのに。
「月音さん、学校いつか来れないの?」
きっと、光野くんに悪気はない。
でも、私はその質問に身構えてしまった。そういえば、彼に余命のこと言ってないかもしれない。
「多分行けないと思う。だって...余命1年だもん」
病室の空気がシンと静まり返った。
