死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 それから数日経って、私は最後の退院をした。

 久しぶりに高校の制服に身を通したけれど、やっぱり丈が長い。ミニスカート丈の制服のはずなのに、全然ミニスカートじゃない。それに、ブレザーも3回くらい折って、やっと手が出る。

 こんなはず、じゃなかったのに。

「こんなのダサすぎるよ...」

 幼児化によって脆くなった涙腺。
 こんなことでも涙が溢れるようになってしまった。

「大丈夫よ。美來は可愛いんだから」

 車の中で、お母さんが励ましてくれる。

「...」

 緊張と、怖さと、楽しみが私の頭の中をグルグルして変な感じがする。

 不安、なんだ。

 ほぼ誰も知らない。そんなところに飛び込むのが。
 愛菜ちゃんが学校で待機はしてくれるけど、それでも倒れたらどうしよう、とか色々考えるし、まず、やって行けるかもわからないもん。

「美來、ついたぞ」

 お父さんは車待機で、私はお母さんと校内に立ち入る。懐かしい風に吹かれる。

 まずは職員室に行って、先生と話をするらしい。