死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 ドアを叩く音がして、私の鼓動が速くなる。

「美來!良かったじゃん」
「星惟〜ギューってして〜」
「ふっ。わかったわかった」

 ギューっと、すっぽりと収めてくれる。

 この時間が何よりも幸せ。ずっと、永遠に続けばいいのに。

「みらい、星惟とお花畑行きたい」
「いいよ。近くに遅咲きの綺麗な向日葵畑あるから」
「ほ、ほんお!?」
「はははっ。ほんおって...」

 "ほんと!?"が言えなかった。
 滑舌がどんどん悪くなってるのも、幼児化してるからだよね...

「星惟...みらい、学校でやってけるかな...」
「僕、今美來の隣だから大丈夫だよ」
「やった」
「でも、学校ではあんまりギューはしないからな」

 そうだよね。私だってそれは恥ずかしい。
 でも、私の自我がちゃんと我慢してくれるかはわからない。今の私は、高校生の私が、4歳の私の中にいるみたいな状態だから。

 人から見たら、私は背の高い4歳。
 身長もさっき測ってみたら、25cmくらい縮んでいた。元々そんなに高くないのに。
 だから今はもう125cmくらいしかない。

 ほんとうに赤ちゃんくらいの身長まで縮むわけではないらしいけど、どう見ても高校生には見えない。

「わかってる!みらいも恥ずかしいもん」
「2人だけの、秘密だからな」
「うん!」

 学校で、私のことは星那ちゃんが小鳥遊くんを通じて、伝えてくれているらしい。

 小鳥遊くん、前に会ったけど、とても星那ちゃんにぴったりな男の子だった。

 星惟は、クラスでは本当に喋れないらしい。
 全然想像がつかない。

「目立ちたくないけど、美來とは一緒にいるから」
「うん!」