「ちょっと美來ちゃん乙女になってたよ」
「え、乙女?」
愛菜ちゃんは、ニヤニヤしながら、私のほうに駆け寄ってくる。
「高校生になって指切りげんまんなんて誰もしないんだからね」
...え?しないの?
「しかも、男の子となんて...」
「なんで、だめなの?」
私が不思議に思っていると、愛菜ちゃんは「ウブだね」と言って、高校生の普通を教えてくれた。
どうやら、私の考え方は小学校低学年で止まってるらしい。
仕方ないよね。
私は小学校4年生までしかちゃんと学校に通ってないんだから。
「光野くん、戸惑っていたでしょう?」
「そう、かもしれない」
「ふふっ。あれはあれで微笑ましかったけどね」
愛菜ちゃんは、私をからかってくる。
それにしても、光野くんは私の会ったことのないような人だったなぁ。
「美來ちゃんにも春が訪れたかぁ」
「春?」
今は4月だから普通に春だと思うんだけどなぁ。
愛菜ちゃんの言っている事はよくわからなかったけど、私は満足感に浸っていた。
