死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 毎日が死の恐怖と隣り合わせ。

 こんな人生、嫌だ。
 何回思ったことだろう。

 星惟と出会ってから、私も幾らか変われたのに。
 結局逆戻り。

「美來...」

 泣きそうになっている私の手を、来たばかりの星惟が優しく握ってくれる。

 まだ死なないよ。
 死ねないよ。

「星惟...怖いよ...死にたく...ない...」

 酸素マスクから漏れた声は、ちゃんと星惟に届いていた。

「美來...死ぬな...」

 星惟も、泣いている。
 ごめんね、ごめんね、星惟...

 まだ死にたくないのに、でも、もうこの生活がしんどい。生きるのも辛くなる。

 死にたくないのに、なんで。

 星惟...泣かないで...

「死にたくない...星惟と生きたい...」
「僕も美來と生きたい...」

 何もかも捨てて、星惟と幸せになれる未来があればいいのに。

 私、私...