死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 お母さんもお父さんも最近は来てくれなくなった。

 私の最期を看取るのが怖いんだと思う。
 見てられないんだと思う。

 親なのに、って思われちゃうかもしれないけど、私も、お母さん達の泪なんてもう見たくないから、来なくていいよとも、言ってる。

 私は親不孝な子供だから。


 愛菜ちゃんから、お母さん達は病院には来ていると聞く。

 でも、特にお母さんが、覚悟ができてないって。

 ...娘の死を、看るのを。

「お母さん、美來ちゃんが好きだからこそ来れないのよね」
「うん...」

 私こそ、お母さん達が大好きだからこそ会いたくない。それは星惟や星那ちゃんに対しても。

 機械の音だけで怖いもん。

 ねえ、人って死んだらどうなるの?

 輪廻転生?三途の川?神様になる?
 もし三途の川なら私は渡れずに河原で石を積み上げることになるけど、ねえ、本当にどうなるの...

 怖い。

 こんな気持ちになるなんて、思ってもみなかった。