死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


ピピッピピッピピッピピッ

 私はもう、本当に長くないらしい。


 あの日、星惟が来た日の次の日、私は倒れた。

 思ってたより進行が早くて、余命は5ヶ月。年内が限界かもしれない。
 当初よりも3ヶ月、命が縮んだ。

 酸素マスクをつけて大きな個人部屋でずっと寝る。

 こうなったらもう隠せないから、星惟から星那ちゃんに余命を伝えてもらった。

 星惟にも、私の命が縮んだことを言った。

 花火大会の夢も、他の夢も、叶いっこない。
 そう告げられたみたいなものだった。

 星惟も星那ちゃんも、私がこんな状態でも欠かさず来てくれて、楽しい話をいっぱいしてくれる。

【恋人のこんな姿を見たくなかった】

 こんな台詞がある漫画も読んだから、星惟にそんな風に思われてないか、怖い。

【綺麗だった頃の自分を憶えていて】

 こんな台詞もあった。
 でも、それをそのまま星惟に言ったら却下された。

「僕は、美來に会えないと駄目になる」

 そんなことを言われてしまっては、突き放すことなんて出来なかった。

 私も、星惟に会えない日々は無理だって分かってたのに。気づいたのに。

 でも。

 なぜか、

 今は会いたくない。

 会えない。こんな格好で会わせる顔がない。そんな風に思ってしまう。

 でも、そんなこと、星惟に言えるはずなくて。

 寂しくてたまらないのに、全てが不安定。