死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


「へぇ。楽しそう!」
「炭の後始末は面倒だったけどね」
「でも、楽しかったでしょ?」
「...まあな」

 星惟のお話を聞くのが楽しすぎて、時間を忘れる。
 一生このままがいいのに。時間は残酷。

「星惟...」

「どうした?」

 自分でもびっくりするくらいふわふわした声。
 不意に、思いっきり甘えたくなった。

「ギューってして?」

 私がお願いすると、星惟の顔は真っ赤になった。

「言ってるだろ。そういうことはするなって」
「やだもん。星惟の顔が赤くなるの面白いもん」
「美來、あのなぁ...」

 苦笑しながらも、星惟は思いっきりギューってしてくれる。私の彼氏は優しいんだ。

 どんなキスよりも、私はギューってしてくれるのが嬉しい。だって、星惟があったかいから。

「これからはまた毎日来るから」
「お医者さんのお勉強は大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないけど、美來に会えない方が大丈夫じゃない」
「星惟...」

 初めて会った時、あんなに暗かった星惟。
 でも、今じゃ私の1番大好きな男の子。

 お医者さんになる夢、叶ったらいいな。
 きっと、白血病のことも本当だけど、お医者さんになる夢も本当だと思う。
 じゃなきゃ、私が耐えられない。


㌧㌧


 愛菜ちゃんが来たら、私達は速攻離れる。
 知られているとはいえ、恥ずかしい。

「美來ちゃん、光野くん、そろそろ時間よ」
「は、はーい」
「イチャイチャはまた明日にしてねー」

 い、い、い、い...

「あ、愛菜ちゃん!」

 私も星惟も顔が真っ赤になる。
 余計なこと言うから...

「あらあら。お可愛いカップルね」
「...もう」

 愛菜ちゃんにいじられるだけいじられて、その日は眠りについた。