死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。

「光野くん、クラスどんな感じ?」
「えっと...」

 今年も多分学校には行けないけど、クラスの雰囲気は知っておきたかった。

 学校に行ったところで馴染めないのはわかってる。それは経験上そうだから。

 でも、せっかく来てくれた光野くんと話したかった。


「僕見た目の通り、暗いからさ」

 光野くんは自分を卑下するように笑った。どこか悲しそうな声をしていた。

「みんなの輪の中に飛び込むのって難しいよね」
「うん」

 どうやら、私たちは、似たもの同士みたいだ。


「あ、僕そろそろアルバイト行くから」
「そっか、引き止めてごめんね」

 光野くん、アルバイトしてるんだ。アルバイトって憧れる。いいなぁ。外の世界って。

 うらやましいけど、それよりも光野くんと話す中で彼に魅力を感じていた。



「また来てくれる?」

 気づけば、そんなことを口走っていた。
 光野くんは少し戸惑っているみたいだ。

「別にいいけど...」

 それでも彼は優しくそう微笑んでくれた。

「じゃぁ約束だよ。また来てね」
「うん」

 指切りをしたのは何年ぶりだろう。彼は恥ずかしそうにしていたけど、笑顔で病室を後にした。