死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 MRIに入るのも慣れたもの。
 慣れたくなんてなかったけれど、仕方ない。

「検査始めるね」

 MRIを操縦する看護師さんに言われて目を瞑る。

 早く終われ。

 検査結果は聞きたくもないけれど、星惟が勉強落ち着いたらちゃんと会えるように、私が体調を万全にしておかなきゃ。


「お疲れ様」

 結果は多分1週間後。

「また飛び降りないでね」
「わ、わかってるよ!」

 あれは、笑い事にしてはいけないはずだけど、今はもう私の中では過去のこと。

 愛菜ちゃんも、私と星惟の関係を知ってくれているから、余計にそうやっていじってくる。

「美來ちゃんなら大丈夫だよ」

 ならいいな。
 願わくば、星惟と一緒に遊園地とか行きたい。

 私、勉強したんだよ。
 観覧車の頂上で、夕焼けの時に、キス...とか...

「美來ちゃんも光野くんも頑張ってるよ...」
「えっ...」

 愛菜ちゃん、星惟がお医者さん目指してること知ってたの...?

 いつもと愛菜ちゃんが違う。

「愛菜、ちゃん...?」
「う、ううん。大丈夫。お部屋戻ろうか」
「うん...」

 なんで、愛菜ちゃんも星那ちゃんも...

「光野くんなら素敵なお医者さんになるね」
「だよね!私も星惟に治してもらいたい...」
「それ尊いね...恋人の病を治す医者か...」

 私、少女漫画のヒロインになりたい。
 余命1年の私が、恋人のお医者さんに病気を治してもらうの。

 それは、星惟であってほしい。