死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。

★𓂃 𓈒𓏸◌‬

 美來がアメリカについて話した。
 カフェで話す内容じゃないと察した僕は彼女を連れて病院の屋上へ行く。

 自分の病に効果が現れるかもしれない治療法の治験が始まること。

 アメリカで、少しだけ延命治療が出来るかもしれないこと。

 けれど...

 完治はしないから、結局死んでしまうこと。

「受けないことにはしたんだけどね、一応星惟には話しておこうと思って...」

 今までの楽しさで忘れていたけれど、美來には余命があった。嫌な現実が襲ってくる。

 本当は、僕は、美來に長く生きてほしい。
 けれどそれをすれば美來はアメリカに行き、会えなくなる。

 フライトだけでも、美來の身体には大きな負担になるらしい。

 治療しろ、とも言えない。
 僕には、何が正しいのかわからない。

「星惟と...離れたくないよ...」

 声にならない声でそんなことを言う美來。
 僕にギュッと抱きついてきた。僕は彼女の背中に手を回す。

 可愛すぎて、僕だって離れたくない。

「僕は毎日来る。テスト期間だろうがなんだろうが」
「ずっと待ってる...」