死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 次に私達が向かったのは院内カフェ。
 あまり行くことがない場所だから、どうしても星惟と行ってみたかった。こういうものがないと、デート感は出ないもんね。

「星惟...私、今すっごく幸せ!」
「きゅ、急にどうしたんだよ」
「だ、だってほんとなんだもん。こんな楽しいの」
「なら良かったけど...」

 ただ楽しい。それだけで私にとっては幸せだから。
 星惟といればいるだけ、お別れが辛くなるのはわかってても、それでも、私は星惟といることを、選んだんだから。

 お互いに注文したものが届き、口に含む。

 私はココア、星惟はカフェオレを頼んだ。

「星惟、苦くないの?」
「全然大丈夫」
「すごいね」

 私、一生コーヒーなんて飲める気がしない。
 はあ。私も星惟と同じものが飲めたらいいのに。

 このカフェは温かい雰囲気に包まれていて、心が穏やかになる。

 だから、だろうか。
 アメリカの話、したほうが、いいのかな。そんなふうに感じる。

 どうせ行かないんだから。
 会えない時間が増えるだけだから。

 言う必要なんて無いはずだけど...

「美來?」
「星惟...あのね...」