死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


月音(つきね)さん、はじめまして」
「...は、はじめまして」

 暗い人だなというのが第一印象だった。

 何の用だろう?制服って事は高校生?


「これ学校で配られた大事な書類」
「ありがとう...」


 急な展開に、私はドギマギした。

 こんなの初めてだったから。いつもお母さんが学校のプリントとか教科書は届けてくれた。

 なのに、今年は、見知らぬ男の子が届けてくれた。


「あの、あなたは誰ですか?」

 こんな事は、初めてで緊張してしまって、失礼なことを言ってしまったかもしれない。

 でも、その時の私は必死だった。


「あ、ごめん。まだ名前名乗ってなかった」
「...」

 変な空気が流れていたと思う。

 いつの間にか愛菜ちゃんはいなくなってたしどうすればいいのかわからなかった。


「僕は、光野 星惟(せい)。今年初めて同じになったクラスメイト」

「星惟、くん...」


 もらったプリントからクラス替えの名簿を見る。

 私は3年7組の出席番号24番で、彼は出席番号18番だった。

「ちょうど僕のおばあちゃんもこの病院入院しててさ。担任の先生が月音さんに届けてあげてってクラス全体に言ってたから、届けに来た。急でごめん」
「ありが、とう...」

 同じくらいの歳の男の子としゃべったのはいつぶりだろう。


 光野くんは暗いけど、悪い人ではなかった。

 こんな気持ち、久しぶりだった。誰かと話せる。

 ちゃんと顔が見えないけど、それでもいい。直感で、その時私はそう思った。