死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


「美來、来たよ」
「星惟...」

 今日は、星惟にお願いして、病院内だけど、ちょっとだけデートをする。

 愛菜ちゃんに先に言ったけど、お母さんにも星惟のことを話して、今日のために少しだけおしゃれな服を持ってきてもらっていた。

「...///」
「ん?」

 星惟と目が会った瞬間に、星惟は顔が真っ赤になって固まっている。

「美來、可愛すぎるだろ...」
「えっ...///」

 ほんと...?私、ちゃんと普通の女の子になれてる?

「ごめん、固まって。行こうか」
「うん!」

 病室を看護師さん以外の誰かと一緒に出るのは久しぶりで、特別どこに行くわけでもないのにワクワクする。

「どこ行く?」
「中庭!今日、セラピードッグ来てるんだよ!」
「セラピードッグ?」
「うん。病院には色んな暗い思いをしてる人がいるでしょ?その人達の心をほぐすお仕事をしてるわんちゃん。ここには茶々(ちゃちゃ)(はつ)が来るよ」
「茶々と初...戦国時代好きの人が名付けただろうな」
「え、そうなの?」

 星惟によれば、織田信長の姪っ子に浅井三姉妹(あざいさんしまい)と呼ばれる三姉妹がいたらしく、その3人のうち2人の名前が茶々と初、らしい。
 じゃあ、末っ子と同じ名前の(ごう)もいるのかな?

 星惟って、戦国時代に詳しいんだ。すごい。
 また新しい星惟の一面を知った。

「星惟、また戦国時代のこと教えてね」
「話すタイミングになればな」
「うん。早く、茶々と初のところ行こ!」
「わかったから、引っ張るなよ...」