死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


「私は小学校4年生くらいからずっとここにいる。

 だから、知っての通り何も知らないんだ。精神年齢だって、絶対に低い。

 それだからなのか、私、今年になって余命1年って言われて、その時は「親不孝の子供でごめんなさい」としか思わなかったの。

 死にたくない、とか何も思わなかった。

 期待しても無駄ってわかってたし、悲しんでも何も変わらないって、この7年間でわかってた。

 だから、私は1人で死ぬつもりだったの。

 でも、それは私の強がりだったんだ。
 自分が傷つかないために、わざと悲しくないふりをするために、心に蓋してたの。

 それに気づいたのは星惟くんと出逢って。

 退院できないって知った時、本当に頭が真っ白になったんだ。

 星惟くんと2人でお出かけしたかったもん。

 だから、あんなことしちゃってた。
 困らせちゃって、ごめんね。

 星惟くんのせいだよ。私がこんなわがままになっちゃったの。

 私も、星惟くんが、好き。
 昨日のキスもびっくりしちゃったけど嬉しかった。

 でもね。

 私は、1年後に死んじゃう。

 付き合っても、私は、星惟くんを置いて逝ってしまうから、そんなの、嫌なの。

 死にたくない、って初めて思った。

 私でいいの?私、絶対に死んじゃうんだよ?
 私が星惟くんの立場だったら嫌だもん。

 だから、だから...」