死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。



「美來ちゃん、お客さんが来てるよ」
「お客さん?」


 誰だろう。
 私の病室に来るのなんて、親戚だけなのに、愛菜ちゃんの言い方は、どう考えても、赤の他人が来たときの言い方だった。

「入れてあげてもいいかな?」

 変な人だったらどうしよう。だって私は外の世界を知らないんだから。今どうなってるかなんて、わからないから。

「変な人じゃない?」

 私が真剣に愛菜ちゃんに聞くから、愛菜ちゃんは面白かったのか大爆笑した。

「いい子だったよ。心配しなくても大丈夫。私もいるから」
「愛菜ちゃんが言うなら...」


 良い子って事は、子供?
 私に何の用だろう。もう研究目的のお医者さんはこりごりだ。

光野(こうの)くん、いいよ」

 愛菜ちゃんに言われて入ってきたのは、前髪で目が隠れた、制服を着た男の子だった。