死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。

 通話が切れる音がして、不意に泪が出る。

 そうだよ、私、退院したいの。できないってわかってても諦めたくない。わがままな私になってしまっても、それでも。

「美來、ちゃん...?」
「愛菜ちゃん...」





 私、もう退院のチャンスないの?






「私には分からない。でもね、美來ちゃんのその気持ち無下にすることもできない。だから、できるように、先生にお願いすることはできる」

 愛菜、ちゃん...

 私のこんなわがままに答えてくれてありがとう。

 私も、愛菜ちゃんのお願いが無駄にならないように病気と闘わないと。それは、自分のためにも。

「光野くんと出掛けたいんでしょ?」
「うん...」

 約束してたから。星惟くんと出掛けるって。
 それが私の夢。家族以外と出掛けたことがないから年相応のことをしたい。

「じゃあ、もっと美來ちゃんに恋を教えないとね」
「お願いします...」
「ふふふっ。素直で可愛いよ」

 私は愛菜ちゃんに、少女漫画みたいなこととかその他色んなことを教えてもらった。

 その中で、やりたいことがいくつもできる。

 絶対、退院してやるんだ。