死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


トゥルルルル...

 相手を見ると、星惟くんだ...!

「もしもし...?」
「もしもし、美來?」
「うん」
「珍しいじゃん、電話しようなんて」
「そうだね...」

 星惟くんだからだよ。

 知らないなりの、知らないからこその、満足の仕方だよね。これが正しいか分からない。

「美來、不安じゃない?」
「不安...?」
「心配なんだよ。あんなことがあったから」
「うん...ごめんね...」

 怒ってる...?
 私、私...

「謝ってほしいとかじゃなくて。その、なんていうか、あの...」

 珍しく、星惟くんの言葉の歯切れが悪い。

「星惟、くん...?」

 本当に、どうしちゃったんだろ。
 私のせいで、星惟くんがおかしくなっちゃった?

「ボソッ 昼ので、わかってるよな...」
「えっ...?」

 お昼...?
 お昼に星惟くんと会ったっけ?

「ふっ。美來のそういうところが、」
「そういうところ?」
「え、あ、き、聞こえてた?」
「うん。聞こえてたよ」
「はぁ。まじか。これは明日直接言う」
「え!なんで!?」
「明日になればわかるよ」
「き、気になるじゃん...」

 星惟くんのいじわる。
 明日は月曜日だから、星惟くんは学校。今日とかみたいに朝から会えないんだね...

 このことは、明日の夕方まで秘密らしい。

 大事な話ということだ。直接言いたいことだから。

「とにかく、二度とあんなことするなよ」
「うん...私、何も見えなくなってた。退院できないって言われて」

「そ...っか...」

「人生最後だったかもしれないのにって思ってたの。星惟くんと、普通の高校生みたいなことしたかったんだ。調べてたんだよ?色々」

「うん」