死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。

❤︎𓂃 𓈒𓏸◌‬


 口には出さなかったけど、星惟くんがいなくなってからも唇の熱は逃げない。

 これ、キ...s...

 星惟くん、あったかい。
 また泪が零れてくる。

「美來ちゃん...?」

 無意識に口元を触っていたら、愛菜ちゃんが突然現れる。

「うわっ!」

 すぐに手を解けば、愛菜ちゃんはニヤニヤして私を見る。

「光野くんと何かあった?」
「ウッ...」

 な、なんでそんなに察しがいいの。

「さっき、光野くん真っ赤になりながら走ってったわよ。あー、甘酸っぱい」
「わ、笑わないでよ...」

 私の自殺未遂がなかったかのように恋に花を咲かせる愛菜ちゃん。

「でも、よかった。光野くんのおかげで美來ちゃんが元気になるなら」
「愛菜ちゃん...」

 愛菜ちゃんも、看護師なんだよね。
 楽しいお話いっぱいしてくれるから、忘れそうになるけど。

「あと、1歩ってところかな?」
「...う、ん?」

 なんだか恥ずかしくてさっきのことは言えない。
 星惟くん、あれって、そういうことで、いいんだよね...?

「妹の惚気話みたいで楽しいわ」

 笑いながら愛菜ちゃんが去っていく。
 い、妹!?惚気話!?

「ははは。美來ちゃん顔真っ赤!」
「せ、星那ちゃん...」