死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


「美來!」

 僕は彼女の顔を見た瞬間にいても立ってもいられなくなって、美來に抱きついていた。

 美來を感じていたくて、強くしてしまう。

 けれど、美來の吐息を感じる度、僕は安心した。

「もう、二度とあんなことすんな」

 なんとか泪を堪えながら、美來に言う。

「ごめんね...」

 僕の背中に美來の手が回り、もっと近くで吐息を感じる。こんな気持ちは初めてだ。

「星惟くん、ありがと...」
「美來が生きてたら、それでいい」

 それしか、出てこなかった。
 生きてくれているだけで僕は幸せだから。

 でも。

 美來には大きく響いていたみたいだった。
 戸惑っている。

 やってしまった。

 美來に未来の話はしてはいけない。わかっていたのに生きているだけでとか、そういうことはかえって美來を苦しめるんだ。

「た、退院したかった...」

 僕にだけ、心の内を話してくれた。大粒の泪を零しながら。だから、僕は美來を抱きしめた。

 言葉よりも、こっちの方が伝わるって、思ったから。でも、ちゃんと言葉でも言わないとな。美來は多分わかってないから。

「退院できなくても、僕が毎日ここに来るから」

 もっともっとキツく美來を引き寄せて、伝えた。