死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 熱は下がり、面会謝絶の札も取れた日。
 今日は、この前星惟くんが言ってたALSの人の講演会、なんだっけ。

 私が指定難病だって、どれくらいの人が知ってるのかな。

 言うつもりもなければ隠すつもりもない私の余命。
 先生が話してても、別に嫌では無い。

「美來ちゃん、退院したい?」
「退院?」

 愛菜ちゃんは突然外出許可の話をした。
 もしかして、最後の退院、できるのかな...

「できるの?」
「うん...その時の体調が良ければね」
「そっか」

 退院したら、やりたいことは...
 いや、考えちゃ、ダメ。

 こんなこと考えて、何回後悔したか、覚えてるのに。毎回毎回、なんで...
 頭の中で、悪魔と天使が囁いてるみたい。

「じゃあ、一旦ナースステーション戻るね」

 愛菜ちゃんが去った途端に、私は泣き出していた。