死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。





 それから数日間、私は熱を出した。

 起き上がるのにも体が怠くて、お粥すら食べられないくらい調子が悪かった。


「珍しいわね...こんなこと...」


 私の病気の症状とは、ちょっと違う。
 高熱が出るのは変わらないけど、こんな寝たきりになんてならない。

「美來ちゃん、大丈夫...?」

 声を出すのも辛くて、首だけを縦に振る。

 流石に、熱が出ている時に面会は出来ないから、今は家族以外面会謝絶。

 あの時のこと、星惟くんはどう思ってるんだろう。


「今、言うのは変かもしれないけど、光野くんと何かあった...?」

 あ、愛菜、ちゃん...?
 なんで分かるの...

「星惟くんに、私の何がわかるの?って言っちゃった...星惟くん、悲しそうな顔してた」


 あれ以来会えていないから、私、嫌われちゃったのかな...って不安になる。

 星惟くんとはもう、会えないのかな。
 星惟くんは、もう、来てくれないのかな。

 そんな不安ばっかりで。

「恋の病、かもしれないね」
「コイノ...ヤマイ...?」

 恋、病...?
 恋って病気なの?

「今の美來ちゃんは恋する乙女なの」
「私が...?」
「うん。光野くんのこと、どう思う?ドキドキしたり、心がぽかぽかしたりしない?それが恋なの」


 星惟くんのことを、考えると...


 私の気持ち、恋なのかな...
 検査結果のドキドキと、恋のドキドキの違いが分からない、から。ドキドキが見分けられない...

 少女漫画みたいな気持ちが恋なんだよね?
 それは聞いたことがある。それで、彼氏が出来たらデートってものをして、キュンとすることをするんでしょ?

 私、星惟くんと少女漫画みたいなことしたい、かも...?