死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。

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 あーあ、知られちゃった。

 隠すつもりもなかったけど言うつもりもなかった、私の余命。


 星惟くんは、私の病気のことを真剣に聞いてくれた。

 私の病気は世間一般的には知られていないらしいからどう説明していいか分からなかったけど、難病ということは伝わったらしい。

「赤ちゃんの時、私1回死にかけたんだって」
「そう、なんだ...」

 まるで自分の病気ように悲しさを見せる星惟くん。
 私はこの数年、ほぼ病院から出ていないとも言った。

「だから、私、ウブなんだって」
「ウブ?」

 ウブ、ってなんだろう。愛菜ちゃんは時々よく分からない言葉を使う。星惟くんなら知ってるかな?

「いい意味なの?ウブって」
「どちらともとれる、かな。だからその人が何に対してウブと言ったかで変わる」
「へぇ」

 眼鏡をかけて、前髪で少し目が隠れている星惟くんは本当に、優等生なんだろうなぁ。

 私の知らないこと、いっぱい教えてくれる。


「月音さん、普段は何してるの?」
「普段?」

 普段、か...

「愛菜ちゃんと喋ってるか、院内学級かな」
「そっか」
「結構楽しいよ。院内学級は暇潰しって感じ」
「勉強、好きなんだな」
「ものによるかな」

 優しくて、愛らしい目を向けてくれる彼。
 お母さんみたい。男の子だけど。