「余命1年...?」
まさかと思った。だってどう見ても元気だから。
「そう、私1年後には死ぬんだ」
悪い夢を見ているようだった。今こうやって何気なく話している人が1年後には消えてしまう。
死が、身近にある人がいる。
寒気が止まらなかった。
「ごめん、何も考えずに聞いて」
「いいよ。いつか言わなきゃいけないことだったし」
さっきの悲しい顔はどこかにしまったように彼女は笑顔だった。
僕、彼女に、無理させたかもしれない。
詳しく聞くと、彼女は何の戸惑いもなく教えてくれた。
学校には行けないと言うより行きたくないようだった。馴染めないから行っても楽しくない。彼女の目はそう伝えているような気がした。
「星惟くんと喋れて嬉しいんだ。友達、いないから」
そういう月音さんの表情は、今にも消えてしまいそうな儚さがあった。
「私、星惟くんと話すのが楽しみなの」
大きな瞳をウルウルさせながらそう言う月音さんは今まで出会ってきた人の中で1番可愛かった。
僕は平然を装って返事をする。
月音さんの箱入り娘感は大変だけれど、久しぶりに人と関わってて楽しいと思えた。
