死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 1人、除菌管理の徹底された部屋で過ごす毎日はとても暇で、僕は毎日のようにスマホの写真フォルダを見ていた。

  【今日は何してたの?】
  【いや、特に何も...】
  【嘘だ。先生に雑用頼まれちゃった?】
  【分かってるなら聞くなよ...】    ______

 懐かしい動画も沢山出てくる。
 僕は、なんの意味もなく付き合ってからは毎日のように動画を回していた。

「美來...」

 この時の美來は明るくて活発で、何より年相応。
 あの末期の症状と照らし合わせれば、涙が出るのも無理は無い。

 容量がどれだけひっ迫していても、この動画達を消すことはできない。

「美來に会いたい...抱きしめたい...」

 後悔や未練はないはずだった。
 それでも、懐かしい風に吹かれた時、僕はずっと美來に会いたいと思い続ける。






 骨髄バンクからドナーが見つかったのは、数日後のことだった。