死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。

★𓂃 𓈒𓏸◌‬

 美來との約束を守りたい。

 その一心で僕は抗がん剤治療を始めた。
 大学に思うように行けなくなることを覚悟して治療をする。

 僕にドナーが見つかれば。
 そうすれば本当に完治するかもしれない。それが難しいことは知っている。だから、それに希望はかけられない。

 僕の担当看護師は、偶然にも愛菜さんだった。
 僕が再発していないかの検査をするために美來から離れた時、星那と同じように手伝ってもらっていた。

「美來ちゃんの次は、光野くんか...」

 四十九日法要が終わったとはいえ、みんながまだ美來の死から立ち直れていない。

 愛菜さんは、自分の患者を看取ったこと、美來が初めてだったらしい。

「看護師目指した時からこうなることも覚悟していたけど...でも...」

 チェキで撮ったらしい美來とのツーショット。
 この頃の美來は年相応の女の子だった。

 そのツーショットを見ながら、愛菜さんは俯いていた。