死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 そんな軽い気持ちで、最初は月音さんに会った。

「星惟、くん...」

 名前を教えたら、いきなり下の名前で呼んでくるものだから緊張してしまった。

 月音さんは高校生にしては小柄で幼さがあった。


「また、来てくれる?」

 アルバイトに行く時間になり、帰る旨を伝えるとそう上目遣いで問われた。

 こんな僕でいいんだろうか。

「別にいいけど」

 僕がそう言うと、彼女は目を輝かせた。

「じゃあ約束だよ」

 数年ぶりに指切りげんまんをした。しかも異性と。
 目の前にいる女の子は、何も変に思っていないようだった。




 ...僕はドギマギしているというのに。