死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


𖦹‎𓂃 𓈒𓏸◌‬


「星惟、お願い...私の分まで生きて...」

 改まって美來が最期の言葉と言って残した後、泣きながら美來はそう言った。

 僕は美來を抱きしめて、ゆっくり、こう言った。

「わかった。僕は生きるよ」

 この頃には再発していることがわかっていた。
 だから、約束は守れないかもしれない。守れない確率の方が高い。

 けれど、美來が後悔なく逝けるように、こう言うしか無かった。美來に未練が残ることは、僕の未練にもなってしまうから。

 美來の髪に留められた造花に目が行く。

 9本の向日葵。
 あの時に渡した、僕の手作りの髪留めだ。こんなにも大事にしてくれていて、僕は言葉に詰まるほど胸が苦しくなった。

 9本の向日葵のようにいかない現実だから。