死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 時間は無情にも瞬く間に過ぎていく。

 美來のお通夜、葬儀はあっという間に終わり、明日には四十九日法要も過ぎようとしていた。

 そんな中で、美來のお母さんは美來の妹を出産する。美來は妹と会うことが叶わなかった。
 その子は『叶來(かこ)』と名付けられた。

 未来と、過去。
 美來の名前の由来は「未来をどこまでも夢見て」という意味だと生前の美來が言っていた。だから叶來ちゃんの名前の由来は「過去を大切にしながら前を向く」というような意味だろう。

 きっとそれは、美來のご両親の決意も含まれる。

 生前の、美來の面影がたくさんある女の子だった。

 四十九日法要の前に生まれた叶來ちゃん。ご両親は悲しみと喜びのどちらをどのように感じたらいいのか分からない様子だった。

「この子が、美來の生まれ変わりだったらいいのに」

 そんなことを思ったり思わなかったり。