死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。



「先生、僕が行きましょうか?」

 職員室の前で担任に声をかけた。

 病気だから同情してるとか、どんな顔か見てみたいとか、そういう気持ちは全くない。

 僕はそんなチャラ男ではない。

 ただただ祖母のお見舞いのついでに行こうかと思っただけだ。


「あら、光野くん、ほんとにいいの?」

 担任は僕がそう言うとは思っていなかったのだろう。
 細い目をめいいっぱい開けた驚きの様子が伝わってきた。


「身内のお見舞いのついでなので」
「なら、お願いしようかしら。ありがとう」
「...はい」