死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


 お父さんに、抱えられた。

「美來...こんなに小さくなって...」
「身長100cmあるかしら...」

 私、そんなに赤ちゃんに戻ってるんだ...

「もうすぐ生まれる妹に抜かされるのも時間の問題だな...」

 ...え?

「美來に妹ができるの。ほら」

 お父さんの腕の中からお母さんの腹部を見る。
 確かに、お腹が膨らんで、いる...

 いつの間に...妹...

 それより、今はいつ?どれだけの時間私は眠っていたの...?

 ベッドに戻る。
 そして私は衝撃の事実を聞かされた。

「美來が8ヶ月も眠っているから...」

 は、8、ヶ月...?
 余命、とっくに、じゃあ...

「非常に稀なケースなんだ。でも、もう危ない」
「...」

 長く生きれていても、結局は起きている時間は変わらない。それが、余命宣告、だったんだ。

 星惟も星那ちゃんも、今は、大学生...?

「美來、高校卒業おめでとう」

 お父さんがあの丸い筒を渡してくれる。
 卒業扱いにしてくれたんだ。私の事。

「美來、僕、第1志望の医学部通ったよ」
「私も行きたかったところにいる」

アアアアア、ウアアウウ(2人とも、おめでとう)

 よかった。本当に...良かった...あの日が9月20日くらいだったから、今は5月...

 伝わったかな...

「美來、ありがとう。伝わった」

 星惟が優しく頭を撫でてくれる。
 懐かしい、この感じ。時間の感覚なんてないはずなのに。私の体は、懐かしさを覚えていた。