死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。


「そろそろ帰ろうか」
「うん...」

 お花の間をお散歩して、写真を撮って、ってしていたらいつの間にか太陽は西の方にいた。

 明日の朝、病院に戻らなきゃいけない。

 やだよ。まだ、星惟と、こうやっておでかけしてたいのに。

 またいつもの病院生活が戻ってくる。そんなの...

「美來?」

 急に私が足を止めたものだから、星惟は不思議そうに振り向く。

「帰りたくない...まだ星惟と一緒がいい...」

 駄々をこねても変わらないことは知ってるのに。
 私は自然と、星惟の袖を引っ張っていた。

「でも、もう夜だよ?今帰らないと僕が悪者になる」
「だって...」

 星惟を悪者にはしたくない。でも...

「この想い出は、ずっと消えないよ」

 そんな事言わないでよ。私が惨めに見えるじゃん。
 私、まだ死にたくないの。ずっと元気でいたいの。