死ぬまでに、少女漫画のような恋がしたいだけ。

★𓂃 𓈒𓏸◌‬

____僕が、君と出会ったのは病室だった。



「誰か、市民病院まで月音さんに届けてくれない?」


 クラス替えのすぐ後のホームルームで新しく担任になった教師がそう言った。

 月音 美來さんは病気でずっと学校に来れていないらしい。

 だから僕含め、彼女の顔は見たことがないと言う人がほとんどだった。


「月音さん、学校に来れるかわからないけど、来た時はみんな仲良くしてあげてね」

 去年も月音さんと同じクラスだった僕は去年の今頃も同じようなことを聞いた気がしていた。

 市民病院と言えば、僕の祖母も入院しているところだけれど直接、こんな前で届けに行くとは言えなかった。

 陰キャの僕が、こんなところで、手を挙げては悪目立ちする。


「月音さんと話したことないしなぁ」
「月音さんも見知らぬ人が来たら戸惑うよね」


 明らかに面倒に思っているように見える1軍。
 それも相まって僕が手を挙げるのははばかられた。