わたしは最寄りのバス停で降りると、自宅ではなく匠海の家に向かった。
しかし、匠海はまだ帰って来ておらず、わたしは匠海の家のドアの横に座り、泣きながら匠海の帰りを待った。
それから30分後。
誰かが階段を上がってくる音がした。
そして、わたしに近付いてくると、「今日は待ち伏せですか?泥棒さん?」という優しい声が聞こえた。
わたしは立ち上がり、思わず抱き着いた。
仕事帰りでスーツ姿の匠海は、わたしを抱き締め返すと、「どうしたんだよ。」と頭を撫でてくれた。
「、、、蓮くん、彼女できたかも、、、。わたし、、、もう用済みみたい、、、。」
わたしが涙声でそう言うと、匠海はわたしをギュッと強く抱き締めたあと、「何か食いに行くか。何食べたい?」と言った。
「九ちゃんラーメン。」
「よし、じゃあ、九ちゃんラーメン食いに行くか!」
そう言って、匠海はわたしを九ちゃんラーメンに連れて行ってくれた。
ラーメンの熱さで出てくる鼻水と涙で顔がぐしゃぐしゃになりながら、ラーメンをすすっていると、匠海は「お前、顔が。」と言いながら、タオルでわたしの顔を拭いてくれた。
「手のかかる奴だなぁ。」
そう言いながら、優しく微笑み「美味しいか?」と匠海が訊く。
わたしが泣きながら頷くと、匠海はわたしの頭に手を置き、「そっか、良かった。元気出せ!」と言い、自分もラーメンをすすっていた。
「ありがとう、、、。」
わたしが絞り出すような声でそう言うと、匠海は「ん?俺は、何もしてないぞ。一緒にラーメン食ってるだけだ!」と言い、笑って見せたのだった。



