朝、早登校してただけなのに。       第一話

放課後。





はなと二人で昇降口に向かっていると








きゃーっ! と歓声が。







そちらを見るとあの今日の朝、挨拶をしてくれたあのモテ王子だった。






「翔くん相変わらず人気だなー!」






へぇ。翔くんっていう名前なんだ。覚えとこ。






それにしてもその翔くんは女子に囲まれながら階段を降りてくる。





真っ黒な髪の毛は短いのに私に負けないくらいサラサラで、茶色い犬みたいな目はおっきくて、唇もプルプルで。





そこらの女子より可愛いくらい。





イケメン...とつぶやいたのがはなに聞こえてしまった。







「えっ!かんなイケメンって言ったっ?!」





聞こえてしまった。恥ずかしいけど少し頭を上下に振る




「さすがモテ王子っ!かんなを惚れさせたっ!」






...いや惚れてはないんですけど





一回挨拶してくれたくらいで好きになるような単純女じゃないし。そりゃちょっとはドキッとしたけど。






照れくさくて少し足を早める。





「かんな照れちゃって〜。少しは正直になろっ?」





はなはめげずにまだ言ってくる





もうはなったら恋バナ大好きなんだからっ!