声に出さずにそう声をかけた時、その手は伊澄に掴まれ無理矢理顔を上げられた。
伊澄の手からこぼれ落ちたスマホが床に叩きつけられガシャンと音が鳴る。
「一番だの、他の女だの…一体さっきから何を言ってるんだよ」
伊澄の顔は先程とは打って変わり、眉間にはこれでもかと言う程皺が寄り凶悪な顔へと変貌していた。
「…えっと、だからいっちゃんには、ちゃんと付き合ってる女の人がいるんだよね…?」
だからそれがもう我慢できないんだよと続けようとしたが、それは伊澄の鋭い声にかき消されてしまった。
「…っ、いねーわ!ずっとお前だけだわ!」
「え?」
「成人式で会った後から全部切った。そっからはずっとお前一人なんだよ!」
あまりの剣幕に気圧されてしまい、雫の頭の中は「???」で埋め尽くされていた。
「ちゃんと言わなかった俺が悪かったとは思うが…まさか欠片も察してなかったのかお前」
「え?え?」
「これだけ連絡入れて、クソ忙しい中無理矢理時間作って会ってんだぞ。少しくらいは気付くもんかと…」
「え?いや、だって…ま、待って待って!」
そうだと言わんばかりに床に落ちたスマホを拾い、サイドボタンを押して画面を表示させる。
「だってこれ、昨日は楽しかったって…」
勝手に覗き見たことを棚に上げながら画面を差し出して押しつけると、眉を吊り上げながらそれを見る。



