[昨日は楽しかったです♡またね♡]
差出人は知らない女性の名前だった。
伊澄は先程、出張だったと言っていた。
そうするとこの名前の女性に会いに行っていたのか、はたまた帰ってきて直ぐ彼女の元へ行ったのか。
心臓にナイフが刺さったかのように痛く、視界は涙で歪んでいた。
ーーああ、やっぱり。
伊澄には他に女が居た。
自分はどこまでもその他大勢の女だったのだ。
「…っ、ひっく、」
泣きたく無いのに涙は止めどなく溢れてくる。
…好きかわからなくなったなんて、大嘘だ。
今でも、伊澄が好きで好きでたまらないじゃないか。
どう足掻いたところで、もう既に底なし沼に頭まで浸かって逃げ出すことなんてできない。
蹲って止まらない涙を何度も拭っていると、ガチャリと玄関の開く音がした。
ビクッと体が震え、涙でぐちゃぐちゃになった顔を何かで隠さねばと思い立ち上がったところで伊澄と目が合ってしまった。
「雫…なんで泣いて…」
「違、これは、」
誤魔化そうとしたが、勢いよく伊澄が近づいてきて抱き締められた。
咄嗟の事に反応を忘れて硬直していると、耳元で伊澄の苦しげな声がした。
「俺…また何か間違えたか」



