【原版】それは麻薬のような愛だった






ネットで何か頼んだ記憶も無いので居留守を使おうかと思ったが何故か何度もしつこく鳴らしてくる。

仕方なくノロノロと起き上がってドアホンを確認すれば、会いたく無い顔がそこにあった。


「いっちゃん…」


連絡無しに来るのは珍しい。
…いや、きていたかもしれない。
昨日はスマホを見る余力もなく眠ったから。

震える手で通話のボタンを押して、返事をした。


『雫、開けてくれ』


開けろ、じゃなくて開けてくれ。
そんな懇願するような言葉にキュウと胸が締め付けられ雫は解錠のボタンを押してしまった。

間も無く玄関のインターホンも鳴り、雫はドアロックを解除してゆっくりと開いた。


「お前、連絡も返さずどうし…ーー」


伊澄は真っ青な顔をする雫に目を見開き、無理矢理家の中に入ってきた。


「体調悪いのか?なんで言わなかった」
「…ごめん」


今は真っ直ぐに伊澄の顔が見られず、目を伏せながら謝った。

伊澄は慌てた様子で雫を横抱きにすると一瞬顔を顰めたが、直ぐにリビングを抜けてベッドまで運び優しく下ろした。


「雫…おまえかなり痩せてるぞ。食事は取れてるのか」
「…あんまり」
「…っ、チッ」


舌打ちをすると、苦い顔でこんな事なら早く連絡入れときゃよかったと吐き出した。