【原版】それは麻薬のような愛だった






「シャワーありがとう。今日はこのまま帰るね」


一瞬衝撃で忘れかけたが、また頭の痛みが再発しだしていた。

早く家に帰って休みたい。色々と疲れた。


伊澄の返事も待たずにジャケットを持って玄関に向かえば、伊澄も後ろを着いてきた。


「送る」
「え、いいよ。どうしたの急に」


一度も言われた事のない台詞に苦笑いを返す。


「じゃあね」


そう言ってドアノブに手をかければ、その手を上から握りもう片方の手でドアに手をつき囲い込まれるような体勢になった。

そしてすぐに伊澄の顔が降ってきて唇を重ねてそのまま押し付けられた。


「んっ…」


抵抗せずにそのまま受け入れ、何度か角度を変えて舌を交えた。
しばらくして名残惜しそうに唇が離れると、雫は軽く伊澄の身体を押しながらもう一度笑顔で言った。



「またね、いっちゃん」


今度はそのまま外に出る。
最近はますます秋らしくなった。



ーー今日の事は忘れよう。


キスマークも、いつもと様子の違う伊澄も全部自分の勘違いだ。


そう何度も言い聞かせ、雫は足を踏み出した。