【原版】それは麻薬のような愛だった





「……ん?」


胸元に小さな鬱血痕があった。それも幾つも。


「…なんで」


思わず声に出してしまう程に驚いた。



キスマークだなんて、今までつけられた事は無かったのに。



先程の行動といい、ますます訳がわからない。
昨日のセックスに至っては何も記憶が無いのだ。

もしかしたら酔いに任せて自分からせがんだのかもしれない。

きっとそうだ、そうとしか考えられない。

あの伊澄が、こんな独占欲を残すような真似は絶対にしない。



モヤモヤとしたものが胸の内に広がり、雫は鏡から目を逸らした。



そのまま一度も自分の姿を目にする事なく全身を洗い終えて風呂場を出てタオルで水を拭き取るとすぐに服を着込んだ。

一通りの身支度を整えてリビングに向かえば、ラフな服に着替えた伊澄がソファに腰掛けていた。