【原版】それは麻薬のような愛だった




酔いのせいでバランス感覚が少し鈍くなっていた雫は引っ張り込まれた勢いで脚をもつれさせて玄関で尻もちをついた。

痛いよ、と睨みながら顔を上げれば伊澄の大きな手で両頬を鷲掴みされた。


「テメー…俺の連絡フルシカトしやがって。合コンてなんだ、言い訳があるなら言ってみろこのクソビッチが」


思ったよりも怒っているなと、どこか他人事のように思った。
美形は怒っても綺麗なんだね、などと思ったことをそのまま言えば一体どんな顔をするんだろう。

はっきりと回らない頭には早口で捲し立てられた言葉はあまり入って来ず、最後に聞き取れたビッチという単語だけが耳に残った。


「えー…それ、いっちゃんにだけは言われたくな」
「あァ?」


ドスの効いた声とはこんな声なのだろうか、更に手に力を込められて少し頬が痛くなってきた。


「ていうか私、ビッチじゃないもん」


頭が回らない。考える、などといった言葉は今は無意味となり、次の瞬間には思ったままを口にしていた。




「だって私、いっちゃんとしかえっち出来ないし」